親知らずは「抜く」か「残す」か?後悔しないための判断基準と抜歯前後の完全ガイド
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「親知らずが生えてきたけれど、抜くのが怖くてそのままにしている」 「痛くないから、まだ大丈夫だと思いたい」
診療室で患者様とお話ししていると、親知らずに対して「抜歯=痛い・怖い」というイメージを強くお持ちの方が非常に多いと感じます。 そのお気持ち、痛いほどよく分かります。誰しも、痛い思いをするのは避けたいものです。
しかし、院長である私から皆様にお伝えしたいのは、「親知らずは、必ずしも全て抜かなければならないわけではない」ということです。 まっすぐに生えていて、しっかりと噛み合い、歯磨きができているのであれば、無理に抜く必要はありません。
一方で、放置することで手前の健康な歯を巻き添えにしてしまったり、将来的に大きなトラブルの火種になったりするケースがあるのも事実です。 大切なのは、「今痛いかどうか」だけで判断せず、「将来のリスク」を冷静に見極めることです。
この記事では、多くの抜歯手術を行ってきた歯科医師の視点から、「抜くべきかどうかの判断基準」や「手術のリスク」、そして「術後の痛みや腫れとの上手な付き合い方」までを分かりやすく解説します。 読み終える頃には、ご自身の親知らずとどう向き合うべきか、心の準備が整っているはずです。
目次
- そもそも親知らずはなぜトラブルになる?「抜く・残す」の境界線
- 先送り厳禁!「抜歯を検討すべき」典型的な5つのケース
- 無理に抜かなくていい?「経過観察(残す)」を選べる条件
- 安全な抜歯のために|レントゲンとCTで見極める「リスク」
- 正直にお話しします。抜歯に伴うリスクと合併症
- 手術前後の過ごし方が鍵!痛みと腫れを最小限にするポイント
- まとめ|迷ったら「評価」を。あなたにとってベストなタイミングを
1. そもそも親知らずはなぜトラブルになる?「抜く・残す」の境界線
親知らず(第三大臼歯)は、人類の進化の過程で退化傾向にあり、現代人の小さくなった顎には収まりきらないことが多くなっています。 そのため、斜めに生えたり、歯茎の中に埋まったままだったりと、正常に機能しないケースが多々見られます。
「親知らずは全部抜いた方がいいのですか?」というご質問に対する私の答えは、「今の健康と、将来のリスクのバランスで決めましょう」です。
判断の基準は非常にシンプルです。
「抜くメリット(将来のトラブル回避)」が「抜くリスク(手術の負担)」を上回るなら、抜歯をお勧めします。
逆に、正常に機能していて悪さをしていないなら、「残す」という選択肢も十分にあり得ます。
2. 先送り厳禁!「抜歯を検討すべき」典型的な5つのケース
「痛くないから」と様子を見ているうちに、取り返しのつかないダメージを負ってしまうことがあります。特に以下のケースでは、早めの抜歯を強くお勧めします。
- 智歯周囲炎(ちししゅういえん)を繰り返している 親知らずの周りの歯茎が腫れて痛む、口が開けにくいといった症状が何度も起きている場合、放置しても自然治癒は望めません。体調が落ちるたびに再発するリスクが高いです。
- 手前の歯(第二大臼歯)を溶かしている これが最も怖いケースです。親知らずが斜めにぶつかっていると、その隙間に汚れが溜まり、手前の健康な奥歯が深い虫歯になったり、骨が溶かされたりします。親知らずを守るために手前の大事な歯を失っては本末転倒です。
- 清掃が困難な生え方をしている 横向き(水平埋伏)や、中途半端に頭だけ出ている場合、どんなに歯磨きが上手な方でも汚れを完璧に落とすことは不可能です。将来的な虫歯・歯周病の温床となります。
- 歯並びや噛み合わせに悪影響がある 親知らずが手前の歯をグイグイと押すことで、全体の歯並びが崩れたり、噛み合わせがズレたりする原因になることがあります。矯正治療を行う場合は、事前に抜歯が必要になることがほとんどです。
- 嚢胞(のうほう)などの病変がある レントゲン検査で、親知らずの周りに袋状の影(嚢胞)が見つかることがあります。これを放置すると顎の骨を溶かしていくため、摘出が必要です。
3. 無理に抜かなくていい?「経過観察(残す)」を選べる条件
一方で、以下のような条件が揃っていれば、無理に痛い思いをして抜く必要はありません。
- 上下の親知らずが真っ直ぐ生え、正常に噛み合っている。
- 歯ブラシが奥まで届き、虫歯や歯周病になっていない。
- 完全に骨の中に埋まっていて、外部と交通しておらず、病変もない。
また、手前の歯を失った場合に、親知らずを移植(自家歯牙移植)したり、ブリッジの土台として利用したりできる可能性もあります。こうした「予備の歯」としての価値を残すために、あえて抜かずに管理していくという選択も、立派な治療計画の一つです。
4. 安全な抜歯のために|レントゲンとCTで見極める「リスク」
親知らずの抜歯は、外科手術です。安全に行うためには、事前の「情報収集」が命です。 当院では、通常のレントゲン(パノラマ)に加え、必要に応じて歯科用CTによる三次元的な診断を行います。
特に下顎の親知らずの根元近くには、「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という太い神経と血管が通っています。
- 神経と親知らずの距離はどれくらいか?
- 根っこが複雑に曲がっていないか?
- 骨の厚みは十分か?
これらをCTで正確に把握することで、神経麻痺などのリスクを避け、手術時間を短縮するための綿密な計画を立てることができます。
5. 正直にお話しします。抜歯に伴うリスクと合併症
医療行為に「絶対」はありません。信頼関係を築くためにも、起こりうるリスクや合併症について、私は包み隠さずご説明します。
- 術後の痛み・腫れ: 通常、痛みは術後2〜3日がピークで、1週間程度で落ち着きます。腫れには個人差がありますが、「飴玉を含んでいるくらい」腫れることもあります。これは体が治ろうとする正常な反応です。
- ドライソケット: 抜いた穴の血液が固まらず(血餅ができず)、骨が露出して強い痛みが続く状態です。強いうがいや喫煙が主な原因となります。
- 神経障害(しびれ): 下の親知らずを抜いた後、稀に唇や舌にしびれが残ることがあります。CT診断でリスクを評価し、慎重に処置を行いますが、万が一症状が出た場合はビタミン剤の服用などで経過を見ます(多くは一時的です)。
- 上顎洞への穿孔: 上の親知らずは、鼻の横の空洞(上顎洞)と近い位置にあります。抜歯時に小さな穴が開くことがありますが、適切な処置と安静で自然に塞がることがほとんどです。
6. 手術前後の過ごし方が鍵!痛みと腫れを最小限にするポイント
抜歯のダメージを最小限に抑え、早く回復するためには、患者様のご協力が不可欠です。
【抜歯前の準備】
- 体調管理: 前日は十分な睡眠を取り、体調を整えてください。寝不足や空腹は、麻酔中に気分が悪くなる原因になります。
- お食事: 術後は麻酔が効いていて食事がしにくくなるため、ご来院前に軽く消化の良い食事を済ませておいてください。
【抜歯後の過ごし方】
- うがいは優しく: 血の味が気になっても、強いうがいは厳禁です。かさぶた(血餅)が剥がれてドライソケットの原因になります。
- 冷やしすぎない: 「冷えピタ」などで冷やしすぎると、血行が悪くなり治りが遅くなります。濡れタオルを当てる程度に留めましょう。
- 安静にする: 当日は激しい運動、長時間の入浴、飲酒は控えてください。血行が良くなりすぎて出血や腫れが増す原因になります。
- お薬の服用: 痛み止めは「痛くなりそうだな」というタイミングで早めに飲んでしまって構いません。抗生物質は感染予防のため、処方された分を飲みきってください。
仕事や学校への復帰は、手術の難易度にもよりますが、翌日〜2日程度は無理のないスケジュールにしておくのが安心です。
7. まとめ|迷ったら「評価」を。あなたにとってベストなタイミングを
親知らずの抜歯は、一生に何度もあることではありません。だからこそ、不安になるのは当然です。 しかし、適切な診断と技術、そして患者様の正しい理解があれば、決して怖いものではありません。
「私の親知らずはどうなんだろう?」 「今すぐ抜くべきか、それとも様子を見てもいいのか?」
その答えを知りたい方は、ぜひ一度草加にあるラウレア歯科矯正歯科クリニック草加にご相談ください。 レントゲンやCTであなたの親知らずの状態を正確に「評価」し、抜く場合のリスク、残す場合のリスクを丁寧にご説明します。 抜くことが正解とは限りません。あなたにとって一番メリットのある方法を、一緒に考えていきましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
草加市草加駅東口から徒歩5分の歯医者・歯科
『ラウレア歯科矯正歯科クリニック草加』
住所:〒340-0016 埼玉県草加市中央2-2-17-2
TEL:048-951-3210
監修者
伊藤 洋平 | Yohei Ito
明海大学歯学部卒業後、大学病院での研修を経て、複数の医療法人歯科医院にて臨床経験を積む。2017年に「ラウレア歯科矯正歯科クリニック草加」を開院。地域に密着した“予防重視”の診療を軸に、幅広い世代の患者に寄り添う歯科医療を提供している。
【略歴】
- 昭和57(1982)年 青森県青森市 生まれ
- 平成19(2007)年 明海大学歯学部 卒業
- 平成19(2007)年 明海大学病院 研修医
- 平成20(2008)年 同病院 研修修了
- 平成20(2008)年 医療法人豊尋会 霞ヶ関歯科 勤務
- 平成24(2012)年 医療法人社団源会 たのうえ歯科医院 勤務
- 平成29(2017)年 ラウレア歯科矯正歯科クリニック草加 開院
【所属学会】
【資格】
- ・日本顎咬合学会 認定医
【所属スタディグループ】
- ・GO会
- ・いいづな総合歯顎研究会
- ・Think Twice
- ・Takei-Kawazu Japan Dental Study Club
- ・ドミサイル矯正
- ・天王洲小川会
【出版・執筆歴】
- ・平成28(2016)年:デンタルダイヤモンド1月号「他医院で行われたインプラント補綴のリカバリー症例」
- ・GO会30周年記念誌「埋伏歯をMTMを用いて挺出させた1症例」
【学会発表】
- 平成26(2014)年:顎咬合学会ポスター発表「セファロ分析 トレースを極める」
- 平成27(2015)年:顎咬合学会ポスター発表「治療用義歯を用いた上下顎総義歯症例」
- 平成30(2018)年:第8回ワールドデンタルショー出展セミナー「外傷した上顎前歯部に対しMTMを用いた一症例」
【参加講習会】
- ・UCLA「インプラント時代におけるピュア・ペリオ」
- ・SBC(サージカルベーシックコース)
その他多数
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