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知覚過敏が治らない…それ本当に“しみるだけ”?草加でできる原因別アプローチ

「冷たい水が歯に当たるとキーンとする」「歯ブラシが触れるだけでしみる」「知覚過敏用の歯みがき粉を使っているのに、全然よくならない」――草加でも、こうしたご相談はとても多いです。
ただ、ここで一つ大事な前提があります。“しみる=知覚過敏”と決めつけないことです。知覚過敏の症状に似た痛みは、虫歯、歯のひび、詰め物のすき間、歯周病、噛み合わせの負担、神経の炎症など、別の原因でも起こります。対処がズレると、歯みがき粉を変えても治らないのは当然です。

この記事では院長の立場から、「知覚過敏が治らない」と感じるときに疑うべき原因を整理し、草加で歯医者を探している方が遠回りせずに解決へ近づくための“原因別アプローチ”を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

 

目次

 

まず確認したい「知覚過敏らしさ」と「危険サイン」

知覚過敏は、典型的には刺激が加わった瞬間に鋭くしみて、刺激がなくなると短時間で落ち着くことが多い症状です。冷たいもの、風、歯ブラシ、甘いものなどがきっかけになります。

一方で、次のような特徴がある場合は、知覚過敏“以外”の可能性が上がります。ここだけは視認性を優先して短くまとめます。

  • 何もしていないのにズキズキする、夜に痛む
  • しみ方が「だんだん強くなる」「長く続く」
  • 噛むと痛い、噛んだ後にジワッとくる
  • ある一点だけが異常にしみる(場所がはっきりしている)
  • 甘い物でしみる回数が増えてきた
  • 冷たい物より温かい物で痛む
  • しみる歯ぐきが腫れる、膿の出口のようなものがある

こうしたサインがあるときは、セルフケアの延長で粘らず、早めに評価した方が結果的に治療が小さく済みます。

 

知覚過敏の基本:なぜ“しみる”のか

知覚過敏の多くは、歯の表面(エナメル質)が薄くなったり、歯ぐきが下がったりして、象牙質という層が露出することで起こります。象牙質には目に見えない微細な管(象牙細管)があり、冷たい刺激や風が当たると、その中の液体が動いて神経が反応します。
つまり、知覚過敏は「神経がむき出し」ではなく、刺激が“伝わりやすい状態”になっているというイメージが近いです。

だからこそ、対策の方向性は大きく二つに分かれます。
一つは、刺激が伝わる道をふさぐ(コーティング・封鎖・再石灰化)。もう一つは、刺激そのものを減らす(磨き方・食習慣・噛みしめ対策)。治らないケースは、ここに「そもそも原因が別」という要素が重なっていることが多いのです。

 

治らない知覚過敏に紛れやすい原因 7つ

「知覚過敏が治らない」と感じるとき、次のような別の要因が隠れていることがあります。

1. 初期虫歯(特に歯と歯の間、詰め物の周囲)

初期の虫歯は穴が見えないこともあります。冷たいものにしみて「知覚過敏だと思っていたら、実は虫歯だった」というのは珍しくありません。
特に、甘い物でしみる、同じ場所が徐々に悪化する、フロスが引っかかるといった場合は要注意です。

 

2. 詰め物・被せ物のすき間、段差、マイクロリーケージ

以前の治療部位がしみる場合、材料の劣化や段差から細菌・刺激が入りやすくなっていることがあります。見た目は問題なくても、境目に小さなすき間があるだけで症状が出ることがあります。

 

3. 歯のひび(クラック)・歯根破折

噛んだ瞬間に痛い、噛んだ後にジワッとする、特定の角度でだけ痛む――こうした症状は、歯のひびが関係していることがあります。
ひびは肉眼で見えにくく、放置すると神経や根の先の病変に進むことがあるため、早めの見極めが大切です。

 

4. 噛みしめ・歯ぎしりによる過負荷(咬合性外傷)

就寝中の歯ぎしりや、日中の食いしばりが強いと、歯の根元に負担が集中し、歯の根元の欠け(くさび状欠損)や歯ぐきの下がり、しみが起こりやすくなります。
「疲れている時期だけしみる」「朝に違和感が強い」などは、このタイプが疑わしいです。

 

5. 歯周病・歯肉退縮(歯ぐきが下がる)

歯周病や加齢、磨き方の癖で歯ぐきが下がると、象牙質が露出してしみやすくなります。
ただし、歯周病が進行している場合は“知覚過敏の治療”だけでは足りず、歯周治療とセットで考える必要があります。

 

6. 神経の炎症(可逆性/不可逆性歯髄炎)

知覚過敏は刺激がなくなると落ち着きやすい一方、神経の炎症が強くなると、痛みが長引いたり、温かい物で悪化したり、夜間にズキズキしたりします。ここまで進むと、治療の方向性が変わります。
「しみる」ではなく「痛む」へ移行してきた感覚がある場合は、判断を先延ばしにしない方が安全です。

 

7. 酸蝕・ホワイトニング後・口腔乾燥など“環境要因”

炭酸飲料・スポーツドリンク・柑橘類などで口腔内が酸性に傾く時間が長いと、歯の表面が弱くなりしみやすくなります。ホワイトニング後の一時的な知覚過敏、口呼吸による乾燥も引き金になります。
この場合、歯科処置だけでなく“生活側の調整”が効きます。

 

当院での診断の流れ:何を見て、どう切り分けるか

「知覚過敏でしょう」で終わらせないためには、原因を絞り込む検査が必要です。診療では、まず“しみ方のパターン”を詳しく伺います。いつ・何で・どのくらい・どこが・どの方向で、という情報だけでも、見立てはかなり変わります。

そのうえで、口腔内の観察、歯周組織の状態、噛み合わせの偏り、必要に応じたレントゲン評価を行い、次のような点を確認します。

  • しみる部位が象牙質露出なのか、虫歯・修復物の境目なのか
  • 歯ぐきの下がりや炎症が関与しているか
  • 噛んだ時の痛みがあるか(ひびや過負荷の示唆)
  • 神経の反応(冷温刺激の反応の仕方)に異常がないか

検査の目的は「診断名を付ける」ことではなく、対策が当たる状態にすることです。ここがズレると、歯みがき粉もコーティングも効きません。

 

原因別の対策:自宅でできること/歯科でできること

知覚過敏(象牙質露出)が中心のとき

多くの方がここに当てはまります。まずは刺激の伝達経路を減らし、再発しにくい環境を作ります。
自宅では、知覚過敏用歯みがき粉を“短期間のイベント”にせず、一定期間継続することが大切です。力任せに磨くほど、根元が削れて悪化しやすいので、歯ブラシの当て方は必ず見直します。
歯科では、フッ素塗布やコーティング、必要に応じて樹脂系材料での封鎖を行い、刺激の入口を減らします。歯ぐきの下がりが大きい場合は、清掃性と将来の安定まで含めて計画します。

 

虫歯・修復物の問題が疑われるとき

“しみる”原因が虫歯や段差なら、知覚過敏用の対策だけでは根本解決になりません。状態に応じて、再充填・補綴物の調整、虫歯治療を検討します。
ここで重要なのは、削る量を必要最小限にとどめることと、再発しにくい封鎖を作ることです。治療後は、同じ場所が再びしみないよう、メンテナンスの組み方まで一緒に整えます。

 

ひび・過負荷が関与するとき

歯のひびが疑われる場合、噛み合わせの調整や、歯を守る設計(必要に応じた補綴)を検討します。噛みしめが強い方は、日中の癖(上下の歯を接触させ続ける)を減らすだけでも症状が変わることがあります。夜間の負担が強い場合は、歯を守るためのマウスピース(ナイトガード)を提案することがあります。

 

神経の炎症が疑われるとき

“しみる”が“痛む”に変わってきた場合、神経の状態を慎重に評価します。炎症が可逆的であれば保存的な対応が可能なこともありますが、不可逆的に進行している場合は治療方針が変わります。
いずれにしても、先延ばしにすると選択肢が狭くなりやすい領域です。早めの判断が、歯を残す可能性を高めます。

 

“しみる”を長引かせない生活のコツ

知覚過敏は、処置だけでなく生活側の小さな癖が結果を左右します。
酸性の飲み物をだらだら飲む習慣、硬い歯ブラシでの強いブラッシング、就寝中の歯ぎしり、口呼吸による乾燥。これらが重なると、どんな対策も効きが悪くなります。

私がよくお伝えするのは、「しみる歯を守る」というより、口の中全体の“刺激の総量”を減らすという考え方です。磨く・飲む・噛む・寝る、その全てに小さな改善点があり、積み重ねが確実に症状を変えます。

 

よくある質問(院長回答)

Q. 知覚過敏の歯みがき粉は、どれくらい使えばいいですか?

症状の背景で変わります。象牙質露出が主因なら、一定期間の継続が有用なことがあります。ただし、原因が虫歯やひびであれば、歯みがき粉だけでは改善しません。「効かない」と感じた時点で、原因の評価が先です。

 

Q. しみる歯を“強く磨いて”しまいます。良くないですか?

基本的にはおすすめしません。根元は削れやすく、歯ぐきも下がりやすい部位です。しみるほど力が入りやすいので、当て方を変えるだけで改善することがあります。

 

Q. 1本だけずっとしみます。知覚過敏ですか?

1本だけ強く、長く、ある一点がしみる場合は、虫歯・詰め物の境目・ひびなどの可能性が上がります。早めに検査した方が安心です。

 

Q. しみる歯が増えてきました。年齢のせいですか?

年齢だけで片付けない方が良いです。歯ぐきの変化、歯周病、噛みしめ、酸蝕などが絡むことが多く、整理して対処すれば落ち着くケースも少なくありません。

 

まとめ:しみる痛みこそ「原因の特定」が最短ルート

知覚過敏は確かに多い症状ですが、「治らない」と感じるときほど、知覚過敏以外の原因が隠れていることがあります。しみる痛みを我慢しながらセルフケアを続けるより、原因を絞り込んで、対策を当てにいく方が早い。これが院長としての実感です。
草加で歯医者を探している方は、まず現状の評価から始めませんか。必要のない処置は勧めません。必要なことを、必要な分だけ、納得できる形で進めていきます。

 

監修者

ラウレア歯科クリニック 院長 伊藤 洋平

伊藤 洋平 | Yohei Ito

明海大学歯学部卒業後、大学病院での研修を経て、複数の医療法人歯科医院にて臨床経験を積む。2017年に「ラウレア歯科矯正歯科クリニック草加」を開院。地域に密着した“予防重視”の診療を軸に、幅広い世代の患者に寄り添う歯科医療を提供している。

【略歴】

【所属学会】

【資格】

【所属スタディグループ】

【出版・執筆歴】

  • ・平成28(2016)年:デンタルダイヤモンド1月号「他医院で行われたインプラント補綴のリカバリー症例」
  • ・GO会30周年記念誌「埋伏歯をMTMを用いて挺出させた1症例」

【学会発表】

  • 平成26(2014)年:顎咬合学会ポスター発表「セファロ分析 トレースを極める」
  • 平成27(2015)年:顎咬合学会ポスター発表「治療用義歯を用いた上下顎総義歯症例」
  • 平成30(2018)年:第8回ワールドデンタルショー出展セミナー「外傷した上顎前歯部に対しMTMを用いた一症例」

【参加講習会】

  • ・UCLA「インプラント時代におけるピュア・ペリオ」
  • SBC(サージカルベーシックコース)

その他多数

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