はじめに
小さな「しみる」「噛むと痛い」から、詰め物の脱離・歯ぐきの腫れまで、一般歯科は“日常の不調”に最短で応える入口です。当院はできるだけ削らない・神経を残す・歯を守る方針を軸に、原因評価→治療→再発予防までを一連で設計します。
治療前には方法の選択肢・回数/期間の目安・費用の目安・起こり得る副作用を客観情報としてご説明し、同意のうえで進めます(効果の断定・優良比較・体験談の掲載は行いません)。
ご相談いただきたい症状
- 歯が痛い/噛むと痛い
- 冷温でしみる(知覚過敏・初期う蝕の可能性)
- 詰め物・被せ物が外れた/欠けた
- 歯ぐきの腫れ・出血/口臭が気になる
- 歯がぐらつく(歯周病進行のサイン)
 
											これらは放置で悪化しやすい症状です。軽い違和感のうちに受診すると、処置の侵襲や通院回数を抑えやすくなります。
虫歯はなぜ起こるのか
虫歯(う蝕)は、プラーク内の細菌が糖を代謝して酸を産生→歯の表層(エナメル質)を脱灰させることで始まります。
発症・進行には以下の4因子+時間が関与します。
- 歯が痛い/噛むと痛い
- 冷温でしみる(知覚過敏・初期う蝕の可能性)
- 詰め物・被せ物が外れた/欠けた
- 歯ぐきの腫れ・出血/口臭が気になる
- 歯がぐらつく(歯周病進行のサイン)
 
											日常では、プラークコントロール+フッ化物応用+間食頻度の是正で再石灰化が優位になり、初期病変は削らずに管理できるケースが増えます。クリニックでは、バイオフィルムの破壊(専門清掃)、リスクに応じた個別指導まで含めて介入します。
虫歯の進行段階別の標準対応
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         1C0 虫歯の前兆で、歯の表面が少し溶け始めた状態です。 
 歯磨きやフッ素塗布などのケアで、再石灰化による治癒を促します。
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         2C1 初期の虫歯です。 
 歯のエナメル質の部分が少し溶けた状態で、痛みなどの症状はありません。
 虫歯の部分を少し削って詰め物をするケースもありますが、当院の場合はできるだけ経過を観察し、治癒を促す治療をしていきます。
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         3C2 エナメル質よりも内側の象牙質に虫歯が進行した状態で、痛みを感じるようになります。 
 虫歯の部分を注意深く取り除き、詰め物や被せ物をして治療をします。
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         4C3 虫歯が神経まで達した虫歯で、激しい痛みや炎症などの症状があります。 
 C3まで進行すると、詰め物や被せ物をする前に「根管治療」を行います。当院ではマイクロスコープを使った精度の高い根管治療に努めており、安心して治療を受けていただけます。痛みがあるときは我慢せずにできるだけ早くご来院ください。 
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         5C4 歯がほとんど失われた末期の虫歯で、根管治療または抜歯が必要な状態です。 
 歯を失ってしまった場合には、インプラント・入れ歯などで歯の機能を補います。
当院の治療方針
当院では、天然歯をできるだけ削らない・神経を取らない・抜かない治療を大切にしています。虫歯になった原因を検査で調べて突き止め、治療後は再発しないように一人ひとりに適切な予防プランを立てさせていただきます。
一時的な治療ではなく、将来を見据えた歯科治療を行っています。
 
											- 必要最小限の切削:拡大視野で感染歯質のみを選択的に除去
- 原因への介入:清掃癖・噛み合わせ・食習慣など再発因子を評価
- 説明と同意:方法の選択肢、回数/期間/費用/副作用を事前に提示
- 予防一体運用:治療後のリコール計画とセルフケアまで設計
解説:
「治したら終わり」では再発を繰り返します。病変そのものに対する処置(修復・根管治療)と並行して、再発の土壌(清掃・食習慣・咬合ストレス)を整えることが、長期安定につながります。
診療の流れ
0. ご来院前の準備(持ち物)
- 健康保険証・各種医療証
- お薬手帳/服用中のお薬名(サプリ含む)
- 紹介状や過去のレントゲン画像(お持ちの場合)
- 気になる症状や経過をメモしておくとスムーズです
初診は問診・検査を含めて30〜60分程度が目安です(症状や混雑状況により前後します)。
1. 初診・問診
現在の主訴(痛む/しみる/外れた)だけでなく、発症時期・きっかけ・強さの変化、既往歴、服薬(抗凝固薬・骨粗鬆症治療薬など)、妊娠・授乳の有無、アレルギー歴、生活背景(間食の頻度、歯磨きのタイミング)までうかがいます。
- 目安:10〜15分
- 急性痛が強い場合は、痛みの緩和を優先した段階的な治療計画に切り替えます。
2. 検査
視診・触診に加え、必要に応じてデンタルX線やパノラマX線を撮影し、病変の広がり・残存歯質・根や骨の状態を確認します。初期う蝕や微細な破折が疑われる場合は、拡大視野(ルーペ/マイクロスコープ)で詳細を観察します。
- 目安:10〜20分
- 放射線被ばくは歯科用では非常に低線量ですが、妊娠の可能性がある方は撮影前に必ずご申告ください。安全性を最優先に可否を判断します。
3. 説明・同意
検査結果を画像や図を使って共有し、考えられる治療の選択肢を提示します。選択肢ごとに以下を客観情報としてお伝えします。
- 処置の内容と代替手段(削らず経過観察/修復/根管治療 等)
- 通院回数・期間の目安(幅で提示)
- 費用の目安(保険/自由、総額の幅・含まれる項目・追加費用要因)
- 起こり得る副作用・リスク(知覚過敏、脱離、再治療の可能性 等)
- 目安:10〜15分
4. 処置
痛みが予想される場合は表面麻酔→局所麻酔で負担を抑えます。う蝕除去ではう蝕検知液・拡大視野を併用し、選択的に感染歯質のみを取り除くよう努めます。根管治療が必要な症例では、ラバーダム防湿(可能な場合)や薬剤の規定使用量遵守など、無菌的手技を重視します。
- 小さな詰め物(CR):1回で完了することが多い)
- 型取りが必要な修復(インレー・クラウン):2〜数回
- 根管治療:状態により複数回
※所要回数は病変の大きさ・部位・全体計画で変動します。
5. 生活指導・再発予防
処置後は、しみ・痛み・咬み合わせ違和感が一時的に出ることがあります。対応と目安期間を事前にお伝えします。再発予防のため、
- ブラッシングの当て方(歯ブラシの角度・動かし方)
- フロス/歯間ブラシの使い分け(サイズ選びと通し方)
- 間食の頻度・タイミング(再石灰化の“休息時間”を確保)
- 必要に応じてフッ化物応用や定期的な専門清掃
を個別のリスクに合わせて提案します。リコール間隔はお口の状態に応じて設定します(例:3〜6か月など)。
6. 会計・次回予約/術後フォロー
会計時に術後の注意点(飲食・運動・入浴・服薬)を再確認し、紙面またはデジタルで注意事項シートをお渡しします。次回予約はWEB/LINEでも取得できます。
- 痛みが強まる、腫れが引かない、仮詰め・仮歯が外れた等の異変時の連絡先を明確にご案内します。
- お支払い方法の詳細は受付にてご案内します(保険証は毎月初回にご提示ください)。
急性痛・詰め物脱離など「応急処置優先」のケース
強い痛みや外傷、詰め物の脱離などの場合は、応急処置(疼痛軽減・感染拡大の抑制・仮封/仮着)を当日優先し、精密治療は疼痛コントロール後に計画的に行います。応急で使用した仮材料は長期使用に不向きなため、後日あらためて本処置へ移行します。
費用の考え方
- 保険診療:症状・部位・材料・処置量により自己負担(1〜3割)が変動
- 自由診療:材質(例:セラミック)や設計、前処置(根管治療/土台)の有無で総額が変わる
- 表示原則:総額の幅/含まれる項目/追加費用要因(再診・調整等)を明記
詳しい金額は各治療ぺージの料金表をご確認ください。ご不明点は遠慮なくご相談ください。
リスク・副作用
- 局所麻酔後の違和感/一時的な痛み・しみる症状
- 修復物の脱離・破損/二次むし歯
- 表示原則:総額の幅/含まれる項目/追加費用要因(再診・調整等)を明記
- 金属材料選択時の金属アレルギーの懸念
- 根管治療に伴う痛み・腫脹/再治療が必要となる可能性
処置後の過ごし方と再発予防
処置当日は、麻酔が切れるまで硬い食事や熱い飲み物は避け、やわらかめ・常温を意識してください。仮詰め・仮歯がある場合は、ガムやキャラメル、もち・ハード系のパンなど粘着・強咀嚼の食品は外れやすいため控えます(外れたら保管して自己接着はせずご連絡を)。ブラッシングは当日から可ですが、処置部位はやわらかい歯ブラシで軽く。フロス/歯間ブラシは出血が気になる間は翌日以降に。就寝前はフッ化物(目安1450ppmF)配合の歯みがき剤を使い、軽く吐き出して少量の水ですすぐと効果が残りやすくなります。
痛みが強いときは指示どおり鎮痛薬を使用し、保冷材をタオルで包んで10分冷却→10分休むを目安に。飲酒・長風呂・激しい運動は当日避け、喫煙は可能な限り控えると治りがスムーズです。痛みが日に日に増す、腫れが引かない、発熱・口が開きにくい等は早めにご連絡ください。
再発予防の基本は歯ブラシ+フロス(または歯間ブラシ)のセット運用と、間食の“回数”や“ダラダラ食べ”の見直しです。医院ではリスクに応じて3〜6か月間隔で専門清掃とチェックを行います。セルフケアの具体手順や通院間隔の考え方は予防歯科ページにまとめていますので、あわせてご参照ください。
よくある質問
痛みが予想される処置では局所麻酔を使用します。処置後の軽い痛み・しみる症状は一時的なことが多く、必要に応じて鎮痛薬を処方します。
小さな詰め物は1〜2回、被せ物や根管治療は複数回が目安です。症状・部位で変わるため、初診時に個別の目安をお伝えします。
虫歯や痛みの治療など医学的に必要な処置は保険適用です。材質・設計の選択で自由診療となる場合は、事前に費用の目安をご説明します。
処置後の知覚過敏は数日〜数週間で落ち着くことが多いです。症状が強い/長引く場合は、薬剤塗布や咬合調整など追加対応を行います。
症例によりレジン(CR)やセラミックが選択肢になります。強度・見た目・費用を比較し、適応を評価してご提案します。
そのまま保管して自己接着はせずご連絡ください。仮の材料で応急対応後、再装着または再製作の可否を診断します。
麻酔が切れるまで(目安2〜3時間)は熱い飲食や硬い物を避けてください。唇や頬を噛みやすいため、やわらかい食事から再開を。
既往歴や皮膚症状をうかがい、金属を使わない材料も含めて選択肢を検討します。必要に応じて医科での評価をおすすめする場合があります。
歯科用X線は低線量です。妊娠の可能性がある場合は撮影前にお申し出ください。撮影の要否を慎重に判断します。
可能です。年齢や協力度に応じ、フッ化物応用・シーラント・ブラッシング指導など予防も含めてご案内します。
早めの受診をお願いします。割れの深さにより、修復・被せ物・抜歯など対応が変わります。応急的に痛みを抑え、精査後に方針を決めます。
ナイトガード(マウスピース)で歯への負荷を軽減できます。欠けやすさは二次むし歯の一因にもなるため、清掃指導と合わせて管理します。
すべての虫歯治療で必要ではありません。腫れ・発熱など感染が強い場合に限り、必要最小限の期間で処方します。
症状が落ち着いても中断は再発や悪化の原因になります。予定に合わせて短時間アポイントの分割やWEB予約をご利用ください。
各治療の長所・留意点・費用・回数を並べてご説明します。効果の断定はせず、中立的に選択をサポートします。


 
								 
								




 
			 
			 
			 
		






